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親子喧嘩

メールの書き方
親子喧嘩をしてしまった。
娘が分かったようなことを言ってくるので、ついカッとなって厳しい言葉になった。
すると娘から「こんな家、出て行ってやる!」と、最後通牒を突き付けられて、娘は家を飛び出していってしまった。
年ごろの娘は難しい。娘と言うか、僕は正直、女性の扱いは苦手なのだ。
じゃあ、何で結婚できたかと言うと
「あの年ごろには、ズバリと言ってやった方がいいよ。甘やかすと癖になるから」
と、僕を慰めてくれる奥さんができた人だったからだ。
このように奥さんは僕の肩を持ってくれるものの、僕には娘と上手くやれない自分にジレンマは残る。
子供が男の子だったら、どれだけよかったか・・・なんて思ってしまう。
「気にしなさんな。頭が冷えたら帰って来るから」
奥さんはそう言ってくれる。しかし、これだけインターネットが発達した世の中である。聞いた話では、家出娘を体目当てで泊まらせる男もいるらしい。そんな男の毒牙に娘がかかるかも知れない、と考えると気が気でない。
そりゃ、自分の子供だから娘はかわいいし、真っ当な道を歩んでほしいと思う。それ故に、娘の行動にちょっと厳しい言葉を吐いたりしてしまう。
育成ゲームをやっているわけではないのだから、娘の自主性は尊重したい。しかし、引くことを知らない僕の性格が、娘にもきっちりと受け継いでいるわけだから、当然激突するのだ。
「あなたと同じくらい、あの子から不満は聞いているけどね」
奥さんは、我の強い僕たち親子の緩衝材になってくれている。僕はそんな奥さんには素直に感謝している。彼女がいなければ、それこそ家庭崩壊だろう。
「ただね、あなたにいいところがあるように、あの子にもいいところがあるのよ」
奥さんは、僕と娘のそれぞれいいところを見ている。これは僕にはないスキルだ。
やがて、娘がそっと帰ってきた。いや、家に帰ってきたというよりも、奥さんのもとに帰ってきたと言っていいだろう。
気まずい空気が漂う中、娘は無愛想に僕に何かの箱を差し出した。
「プリンには蜂蜜でしょ!」
中にはプリンが三つ入っていた。
僕は、プリンに醤油をかけるのが好きだ。それを言うと、娘は「信じられない!」と僕の嗜好を全否定した。蜂蜜を主張する娘に、甘いものに甘いものをかけてどうするんだ!と親子喧嘩になったことが、今回の娘のプチ家出の発端だ。
僕たちは、相手を試すようにそれぞれプリンに醤油と蜂蜜をかけて食べた。正直、蜂蜜プリンは甘くなりすぎてやっぱり駄目だ。同じように娘は醤油プリンを食べて顔をしかめている。
そんな僕と娘のにらみ合いの真ん中で、奥さんは何もかけずに笑顔でただのプリンを食べていた。たぶん、奥さんがこの家で一番の勝ち組なのだろう。
援デリ
援デリ